新聞記事: 『暗号技術の「穴」無くす』
ちょっと前の話なのですが、日経産業新聞(2009年10月27日)の「JAPAN ITの異才たち」という連載で、日立の渡辺大さんが紹介されていました。
記事の前半はこちらから参照可能です。
後半部、というか記事全体も入手できたのですが、丸々引用するのは何なので、流れを紹介し、時々引用も交えることにします。
現行の暗号は解読される危険性があるため、米政府は来年までに次世代方式に置き換える方針。しかし、その次世代方式は部分的に現行方式の改良版を用いており、そこを突破口に破られる恐れもあるという。そこで抜本的な新技術が必要となり、米国立標準技術研究所(NIST)が主催する国際コンペ構想が07年に動き出した。
現行方式=SHA-1、次世代方式=SHA-2 と読み替えれば良いのですね。国際コンペというのは、いわゆる SHA-3 コンペのことなわけですが、渡辺さんの技術は、今年7月の2次選考に通った14種類の一つに入っており、また渡辺さんの技術が最終選考の有力候補の一つと目されていることが、この後に紹介されています。ただし、渡辺さん曰く
自社技術の標準化が目的ではない。世界中の知恵を集めて最良の技術が選ばれればいい
のだそうです。
話は渡辺さんの過去に及びます。
高校時代。数学の恩師に「この問題はあと15種類の解法がある」と挑発され、8通りしか見つけられずに悔しがった。負けじ魂が燃え上がり、大学では数学を専攻。
日立に入社後も目の前の課題に反射的に食らいつく習い性を発揮。週末にも出社して、暗号化処理の流れ図をにらむ日々が続いた。
大学時代に始めた趣味の折り紙では、何十分もかけて美しい折り方を考案することを楽しむ。
そして最後のまとめのくだりとなります。
現在は次々世代暗号化技術の最終選考に向けて、他候補の弱点探しに没頭する日々を送る。渡辺が他候補の技術を安全ではないと示せれば勝ち残りが近づく。「自分の腕前でネットのセキュリティーを支えたい」。来年夏には5候補まで絞り込まれるコンペの結果次第では意気込みが現実になる。
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