NHKスペシャル『魔性の難問~リーマン予想・天才たちの闘い~』 を見ました
2009年11月15日(日)のNHKスペシャルで放映された『魔性の難問~リーマン予想・天才たちの闘い~』をやっと見ることができました。簡単に番組の内容紹介と感想を書いてみたいと思います。以下、ネタバレを含みますので、ご注意下さい。
番組は、そのタイトルにある通り、リーマン予想にまつわる研究者たちの闘いを歴史にそってふりかえるという構成でした。
- 小さい素数を並べていくと 2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, ... となるが、この素数のの並びの謎(素数の暗号)を解き明かすことに多くの学者たちが魅了されてきた
- 18世紀はじめ: レオンハルト・オイラー
- 素数と宇宙のつながりを直感的に感じていた
- 「素数階段」
- \prod \frac{p^2}{p^2-1}=\pi^2 を証明
- 素数が円と関連を持った!
- 19世紀半ば ベルンハルト・リーマン
- 素数に意味があることをゼータ関数によって説明する試み
- ゼータ関数=オイラーの式の右辺の"2"を"x"に変えたもの
- つまり、\zeta(x) = \prod \frac{p^x}{p^x-1}
- ゼータ関数を立体的グラフで書いて(複素平面における)ゼロ点の位置を調べた
- ゼロ点はばらばらになると予想したが、いくつかのゼロ点を計算してみると、一直線上にならんでいた
- リーマン予想(1859年)の誕生
- 「素数の謎」を数学の問題に書き換えたのがポイント
- 20世紀はじめ ゴッドフレイ・ハーディ と ジョン・リトルウッド
- コンビで100本以上の論文を発表
- 1914年 ハーディは「あの直線上にゼロ点は無限に存在する」ことを示し、リーマン予想が証明できたと考えた
- しかし直線上以外にゼロ点が存在する可能性を否定できず、証明にはほど遠かった
- ショックを受け、あまつさえリーマン予想は間違っているとさえ言い出すようになった
- 20世紀半ば ジョン・ナッシュ
- ノーベル経済学賞の受賞者(1994年)
- 映画「ビューティフル・マインド」で半生が描かれた
- 1959年の講演会「リーマン予想についての型破りな見方」では、リーマン予想を解いた話が紹介されるという前評判が高かったが、リーマン予想と闘ううちに統合失調症となってしまい、講演内容は疑問符のつく内容だった
- 暗黒の時代(リーマン予想を敬遠)
- 1960年代 ルイ・ド・ブランジュ
- 素数は原子や素粒子といったミクロの世界と関連を持つ、との信念
- リーマン予想を解いたと3回宣言 → いずれも誤っていた
- 1972年 プリンストン高等研究所
- 物理学者フリーマン・ダイソンと数学者ヒュー・モンゴメリーの出会い
- お茶会において、モンゴメリーは研究内容を尋ねてきたダイソンに対し、ゼータ関数のゼロ点にはある程度の規則性があることと、その規則性を表す数式を紹介した
- ダイソンは、その式が原子核のエネルギー間隔の式と同じであることを指摘
- 原子核のエネルギーのとり得る値の間隔=ゼロ点の間隔
- 1996年 第1回リーマン予想会議
- 一線の数学者・物理学者が一同に介する
- アラン・コンヌは非可換幾何学を紹介し、ミクロの世界に対する新しい数学的な考え方を示した
- 今では、非可換幾何学は大宇宙からミクロの世界までを説明できる理論と期待されている
- 素数の理論は宇宙の設計図なのかもしれない
- ルイ・ド・ドブランジュは、最近、リーマン予想を解いた論文を完成させた。その証明が正しいかは他の数学者による判断を待たねばならない。しかし、たとえ誤っていたとしても、再び証明に挑戦することを宣言。
番組で紹介された用語や逸話にはある程度なじみがあったため、番組は素直に楽しむことができました。残念ながら一人で視聴したため、もっと普通の視聴者がどのような感想を抱くかはわかりませんが、それでも楽しめることのできる内容だったと思います。テクニカルには、素数階段やゼータ関数の映像化に感心してしまいました。
しかしながら、番組の宣伝文にあった「クレジットカード番号や口座番号を暗号化する通信の安全性は、「素数の規則が明らかにならない事」を前提に構築されてきたからだ。」云々については、ちょっと気になる説明がなされていたように感じました。これについては、考察を加えながら、別途書きたいと思います。
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コメント
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「物理と数学のかきしっぽ」
っていう本
でリーマン予想
を解きました
投稿: tai | 2013年8月 6日 (火) 12時52分