解読コストは「無限大」
報道のタイミング的に、明日(2007年9月7日)のISEC研究会や、週末(2007年9月9日~10日)に開催される SHARCS 2007 で発表される内容に対応していますね。富士通は同様なハードウェアを2006年にも開発しプレスリリースを行っていますので、今回もその延長として、FPGA で素因数分解ハードウェアを開発したということでしょう。
素因数分解専用のハードウェアを作るという話は、国際的な暗号学会ではおなじみの話で、例えば記事に引用されている
RSAの開発者でもあるイスラエルのシャミール教授が2002年時点で「公開カギの長さが1024ビットのRSA暗号は10億円かければ1年で解読可能」とした予測
した話は TWIRL という ASIC ベースのデバイスのことです。しかし Shamir らは一切の実験を行っていないため、見積もりの信頼性が問題視されていました。これに対して富士通は TWIRL よりももっとシンプルでデバイスを開発し、その知見からでは 1024 ビット合成数を分解できるようなデバイスを開発するのは困難だと結論づけたわけです。「無限大」という表現は見出し用だとは思うのですが、まさか富士通なので「無限大」とかいうオチはないですよね...
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